AGAのメカニズム

AGAとは脱毛症のこと

まずはAGAとは何か、基本的なメカニズムについて知っていきましょう。AGAは「Androgenetic Alopecia」の略で、日本語では「男性型脱毛症」と言います。そのため主に成人男性の薄毛や脱毛症を指しますが、近年はAGAに悩む女性も少なくありません。薄毛の9割以上がAGAが原因であるとされるため、薄毛に悩む男性のほとんどがAGAを発症していることになります。
薄毛が現れるのは一か所ではなく、前頭部の生え際や頭頂部から薄くなっていきます。年を重ねることで薄毛が進行していくイメージがありますが、早ければ思春期からAGAを発症することもあります。そのため、若くして薄毛に悩みAGA治療を受ける男性も少なくありません。50歳以上になると、約半数以上の男性がAGAを発症します。前頭部の生え際が後退していくパターンを「M型脱毛症」、頭頂部から薄くなっていくパターンを「O型脱毛症」、M型脱毛症とO型脱毛症が同時進行的していくパターンを「複合型脱毛症」と呼びます。

基本的なメカニズム

遺伝や男性ホルモンの影響がAGAの主な原因です。男性ホルモン（テストステロン）は、男性の場合は睾丸から分泌され、それが血液に混ざり体内に流れます。テストステロンは頭皮にある5aリダクターゼと呼ばれる酵素と結合し、同じく男性ホルモンであるジヒドロテストステロンに変化します。このジヒドロテストステロンは男性ホルモンのレセプターに反応し、脱毛因子であるTGF-βを増殖させます。TGF-βは毛髪に関わる細胞に対して毛髪が抜けるように指示を出します。その指示により毛母細胞は活動を停止し、毛髪を十分に成長させることがないまま、細く短い状態で抜け落ちていきます。十分に成長せず抜け落ちていく毛髪の量が増えていくことにより薄くなり、地肌が目立つようになっていきます。
女性のAGAについてはまだ謎が多い部分もありますが、これもホルモンバランスの崩れが原因であると考えられています。女性ホルモンの分泌量が減り男性ホルモンが優位になることで、薄毛が発症するものと思われます。

側頭部や後頭部は影響を受けにくい

AGAを発症した場合、ほとんどは前頭部や頭頂部から薄毛が進行していきます。そのため、側頭部や後頭部は無事であることが多いです。これは、5aリダクターゼや男性ホルモンのレセプターが側頭部あるいは後頭部にほとんど存在しないためです。そのため、自分の毛髪を薄毛部分に植毛する自毛植毛治療においては、AGAの影響が少ない後頭部や側頭部の髪毛を薄い部分に移植する手順で進められます。